ビートルズ・サウンドを創った男―耳こそはすべて



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ビートルズ・サウンドを創った男―耳こそはすべて
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「Beatlesの良心?」マーティンの自伝

原著は1979年に出たもので、1980年に出た日本語版『耳こそはすべて』を読みました。
現代的な音楽プロデューサーの形を作った人と言える、ジョージ・マーティン氏の自伝で、ビートルズのことが半分、自身の生い立ち、そして音楽講座から成っています。
デジタルはおろかCD以前の録音の話ですが、マーティン氏は先進的で(ビートルズとやったくらいだから当然でしょうが…)、最後にはデジタル時代を適確に予想しています。

2006年に出た、エンジニアのジェフ・エメリックによる『ビートルズ・サウンド 最後の真実』と合わせて読むとまた深みが増します(エメリック氏はマーティン氏の部下だったので、同じセッションに対しまた違う見方で書かれています)。
マーティン氏の方は、まあ'70年代の著作であることと、やはり「ビートルズの良心」でもあるので悪いことはあまり書いてありませんが、エメリック氏の方は言いたい放題で面白いです。
「・・・たら、・・・れば、」

 確かに、Fab4の天賦の才能・稀代の創造性と必然の時代背景に後押しされて吹き出したビートル現象は、1971年に彼等が法的に解散して以降現在に至るまで、決して色褪せることのないロック界のカリスマとして君臨していることに何人も異論を挟む余地はないであろう。

 その上で、今回幸運にもこの本に遭遇して、5番目のビートルズと称されたG.マーティンの存在感に人目もはばからず平伏することとなった。彼の弁ではデビュー当時はまだ稚拙であったらしい彼等の歌を、一方においては類稀なる作曲能力に心底敬服しつつ、「イエスタディ」を機により完成度の高い名曲に仕立て上げた彼の功績は、ロック史上に永遠に刻まれることは間違いない。

 また、彼に限らずビートルズがこの世に出現するに当たり、運命的に四人と関わらざるを得なかった多くの人々との邂逅がもしもなかったら…例えばあの時にEMI系列出版社の責任者であったS.コールマンなる人物がG.マーティンに彼らのデモテープを紹介しなければ…等々と考えると、この本から湧き出る興味は限りなく尽きない。

 ただ、全体的な感想として、音響のプロフェッショナルであるのと同時にビートルズ以外のアーティストのプロデュースをも手掛けた彼の自伝小説的要素が濃い作品であるが故に、かなり専門的な用語が散見されて私のような素人が理解するのに多少難解な所も気になるものの、この方面に心得ある者、あるいは将来、音楽プロデューサーを目指そうと思われる方にとっては、貴重な教材になるものと思われる。


彼無しではBeatlesは今ほど輝かなかったろう

 言うまでもなく、Beatlesの全作品のプロデューサーであるジョージ=マーチンの自叙伝の形になっているが、当時の録音の苦労話や、ビジネスの裏側もかなりきわどく描かれていて面白い。
 現在のようなコンピュータによる打ち込みが当たり前の時代ではなく、あくまで、アナログの録音の時代に、如何に工夫して編曲し、録音し、ミキシングしたかが丹念に書かれている。これを読むだけでも、オリジナルのコンピュータによる改編が、本人の承諾なく行なわれることが、原作者への冒涜になるということが分かる。

 ハンター=デイビスの公式伝記「ビートルズ」が絶版状態になっている中で、ビートルズとジョージ=マーティンとの曲作りの状況は、この本くらいしか正確に記述されなくなっていると思う。

 初めてジョージ=マーティンとであったビートルズのメンバーの第一声が面白い。
 マーティンが録音の趣旨を説明し、「何か気に入らないことがあったら言ってくれないか?」これに対し、ジョージ=ハリスンが「ああ、あんたのネクタイが気に入らない」と答えたなんて、最高の話だと思いますね。
 
 ま、全てがビートルズのことを書いてあるわけではないけれど、この本はBeatlemania必読の書でしょう。
ネット時代に再読を!

著書の中でビートルズに関する話題は全体の約半分。残りの半分が
マーティンが手掛けた仕事や録音技術などについての記述、という
構成になっている。
50年代60年代の英国音楽業界の内幕も結構暴露してるし、生臭いビジネス
の話題も書かれていて大変に興味深い。
星4つにしたのは、この本が書かれたのが1979年ということで現在の

レコーディング技術等についてカバーされていないから。
まあ、その辺はネットでマーティン自身の最新インタビューが読めるから
各自でフォローすることも出来るが。
才能と努力

ジョージ・マーティンの歴史を見てゆくと、節目節目で彼のステージを上げてくれる出会いや出来事がある。
それを多くの人は運と言うのだろうが、本当は類稀な才能とそれを持ってしてもたゆまない努力があってこそである。
この本からはそんなひたむきな姿勢が行間から伝わってくる。



河出書房新社
ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実
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