現在に通じる外資系証券の現像と、エクイティ・デリバティブ・トレーダーの仕事
本書は、1987年、新卒でソロモンに入社した末永氏が、一人のエクイティ・デリバティブ・トレーダーとしての貴重な体験を、1997年に退職するまで、シニカルな切れのある表現で克明に記したものである。
レビュアー自身、新卒で米系投資銀に入り、ニューヨークでHP-12C電卓を使った研修などを受けたので、投資ゲームの記述など懐かしく思った。また現在、サブプライムの影響を受け、各社で経費削減のために、金額としては取るに足らない、しかし危機感共有のためのシグナルとしての役割を帯びた数々のくだらない試みがなされているが、同様のことがかつてのソロモンでも行われたことが書かれており、歴史は繰り返す、との言葉がよぎる。
また相場に対する哲学も、今なおエクイティ市場でプレイヤーとして働く私の目から見ても、勉強になるところが多く、メモを取りながら一気に読んでしまった。
ドライで冷たく感じる記述もあるが、それは現場で働くものには事実であることばかりだ。
なかでも特に、著者の以下の記述には、自省させられる思いがし、心を打たれた。
【人は、緊張を強いられると、他人にも緊張を強いたくなるもののようである。(中略)会社を辞めてからは、そういうことはなくなり、むしろ、緊張した人々に接すると、窮屈に感じるようになった。 もっとも如実な変化は、顔つきが穏やかになり、歳より若く見られるようになったことである。】
外資系の、特にトレーダーは、性格がキツイと言われるが、それは生来のものではなく、職場環境がそうさせているのだ。そしてそれが望ましいとされる。そう、今の私のように。
いつの日か退職し、筆者のように心が平穏に満たされる日が来ることを願いつつ・・・この本に出会った全ての人に、一読をお勧めする。
外資系投資銀行の実像と時代背景としてのバブル経済
この本はかつて「ウォール街の帝王」として君臨したソロモン・ブラザーズの東京支店において株式デリバティブなトレーダーとして勤務していた末永徹氏が著したノンフィクションである。投資銀行が一体どのような「原理」に基づいて行動しているのか、バブル経済の形成とその崩壊の過程と外資系投資銀行がそれにどのような関わり方をしたのか、そもそも「金儲け」とは何なのかといったことについて関心がある方は一読をお勧めする。
例えば、投資銀行が頻りにその有用性を説く新卒向けトレーニングが本質的には実は金儲けの秘密にはなり得ないことに関しての著者の記述は、金融業ひいてはビジネス=金儲けが基本的には情報の非対称性に拠っていることを明快に示す。「何か、素晴らしい金儲けを思いついて実行に移そうとしている時に名前も知らない二百五十人(トレーニングを受けている新卒)を相手にその内容を明かしてしまうお人好しがどこにいるだろうか。少なくとも、ソロモン・ブラザーズには絶対いない。」
また、日本における外資系投資銀行の一時代記としても読めるだろう。この本で散々に扱下ろされている「K氏」とは先の日興シティグループ証券社長と目されるし、その「K氏」と反目し他社に移籍する「O君」とはゴールドマン・サックスの最年少パートナー(当時)の座を捨てオンライン証券を設立した著名な起業家であろう。
「投資銀行」、そして「金儲け」の本質に鋭く切り込む良書である。
トレーダーたちの生き方とは
本書に書いてあることが外銀トレーダー全てに当てはまることでは恐らく無いだろう。でも、その余りにも希薄な人間関係に驚かされる。
筆者がどのように儲けてきたのかという話が、淡々と書かれている。そこに描かれる他人は常に邪魔者であったり、第三者でしかない。何か協力して頑張ったというような話や、汗の量に比例して成功確率が上がるというようなプロジェクトX的な話も全くなし。合理的と言えばその通りだが、やはりこの世界は誰でも適応出来る世界では無いんだろうなということが良くわかった。
当時の投資銀行(ソロモン)って?
これは米国投資銀行のトレーダーだった人の実話本です。著者は、東大法学部在学中に国家公務員上級試験に合格するような人。 でも、旧大蔵省から内定を貰う直前に『ソロモン・ブラザーズ・アジア証券』とゆー米国投資銀行へ入社してしまうんですよ!! どっちの選択が良かったかは本人のみぞ知る、、、ってやつですけど、僕は投資銀行に憧れます。 投資銀行とは何ぞや!? とゆーより、トレーダーとは何ぞや!?ってことが feeling としてわかると思います。 ウォールストリート (←アメリカの金融街、、、もしかしたら世界で一番有名な金融街) の王様として君臨していた『ソロモン・ブラザーズ』。 いかにしてその地位につくことができたのか? いかにして著者は、年収○億円の収入を得る仕事をこなしたのか? ソロモンが崩壊するまでの流れを speedy に展開する後半部分! って感じで、投資銀行のトレーダーって何やっとん??? と思ってる人には面白い本だと思いました。 高額な給与を得る人間の行動。 そのことに対する著者の冷ややかな視点、、、を通じていろいろと考えさせられた本でした。
投資銀行
華やかでいて誰もが羨む外資系投資銀行。しかし一概に外資系投資銀行といっても世間では何をやっているのかよくわからないが給料だけは飛びきりいい会社だろうと思っている人達が多くいる中で、著書の躍動感溢れる語り口で投資銀行の仕事の内情を詳細な現実に起こった当時の事件と照らし合わせながらストーリーが進んでいく様は圧巻そのもの。これから外資系に行きたいと思っている学生、外資系投資銀行ってどんな所なんだろうと疑問に思っている方にも是非一読の価値ありの本です。面白くて1日で読みきってしまうほどのストーリーがぎっしり詰まってます。
文藝春秋
ライアーズ・ポーカー (ウィザードブックシリーズ) トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫) リスクテイカー (文春文庫) 巨大投資銀行 (上) (ルビ:バルジブラケット) 巨大投資銀行 (下) (ルビ:バルジブラケット)
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